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V.産業力の創造・強化

中小企業対策等の充実・強化

●中小企業活力の増進
・企業の環境問題への取り組み支援
 環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO14001の認証取得を支援するため、?関西環境管理技術センターとともに「環境マネジメントシステム共同構築実践セミナー」を開催した。また、環境マネジメントシステムを効率的に構築するために「内部環境監査員養成研修会」を開催した。
 環境産業が21世紀の成長分野として注目されるなか、中小企業が環境ビジネスや環境コミュニケーション活動への取り組みを成功・充実させるため、「環境経営講座」を2回開催した。
さらに、公害健康被害補償予防事業として公害健康被害補償予防協会の委託を受け、汚染負荷量賦課金の申告の受付を行った。申告件数は290件であった。

・ケアサービス事業者交流会の設置
 急速な広がりを見せるシルバーマーケットの中でも、今後大きな市場形成が見込まれる介護保険対象外の高齢者向け生活支援サービス(ケアサービス)産業の健全な発展を図るため、同事業分野に進出している企業や今後進出を計画している企業に対し、各種関連情報の提供及び企業間交流を行う場として、ケアサービス事業者交流会を設置した。
 参加企業は、流通業・運輸業・介護サービス業など29社。大阪市立大学大学院の白澤政和教授を座長に7回交流会を開催し、「今後の介護・ケアサービス市場の展望」「ケアサービス事業における先進事例研究」「高齢者向け製品流通の現状と今後の展望」などについて情報交換するとともに、見学会・懇親会を通じ、事業者間交流を図った。

・福祉産業フォーラム・大阪2002の開催
 21世紀の成長産業として注目を集めている福祉産業を大阪・関西で振興するため2月21・22日、大阪市と共催で「福祉産業フォーラム・大阪2002」を開催した。
 今年度は「拡大する福祉ビジネス〜介護から生活支援へ」をテーマに、福祉産業の可能性を展望した。
 福祉産業の今後の動向を占う講演会や、ケアサービスとユニバーサルデザインの分野毎のパネル討議、実務に携わるケアマネージャーを対象にした福祉用具活用法セミナーなどを通じ、業界をめぐる最新情報提供に努めた。
 また、新製品・新サービスを展示する商談コーナーを41社に提供し、事業提携や販売促進などの事業拡大のきっかけづくりに資した。福祉関連企業のカタログ展示、大学・NPO団体のパネル展示も行った。参加者は2日間で延べ800人。

・産学官技術移転フェアの開催ならびに技術交流クラブの運営
 関西圏の大学や公的研究機関が保有する優れた研究成果を、中堅・中小企業の新事業・新製品開発に活用してもらうための機会を提供するため、12月11・12日にマイドームおおさかと本会議所を会場に、「産学官技術移転フェア2001」を開催した。23大学・15研究機関・6技術コンサルタント会社・団体と、のべ2,900名の企業関係者が参加した。昨年に引き続き民間の技術コンサルタントが、大学・研究機関から提供された研究成果(技術シーズ)の内容をわかりやすく解説し、具体的にどのような製品や事業に活用できるかを、企業関係者に提案した。この結果、大学・研究機関からの技術移転が促進され、民間企業への移転の可能性が高い案件は計35件に上った。
 また、平成11年9月開催の技術移転フェア99のフォローアップ事業として、技術コンサルタントをコーディネーターに複数の中小企業をメンバーとする技術交流クラブを設置し、新製品・新事業開発に取り組んだ。そのうちの1件「アルコール香り製剤」グループは、試作品をフェア2001で紹介するとともに、13年秋の商品販売を目標に共通のブランドやロゴマークを決めるなど活発な活動を行った。一方の「機能性を付与した生分解性プラスチック」グループでも、参加メンバー共同での特許出願を予定しており、今後の商品化が期待される。

・非公開企業のM&A市場の運営
 近年、中小企業の経営戦略の一つとして、M&A(企業の合併・買収)が注目されている。特に、事業承継対策の一環として株式譲渡(M&A)する場合、廃業・清算とは異なり、会社が存続し、従業員の雇用も確保される上に、課税方式の違いからオーナー株主の手取額も多くなるなどのメリットがある。また、買収側も新分野への進出など機動的な事業展開が可能となるなど、中小企業にとってもM&Aは有効な経営戦略であり、徐々に身近なものとなりつつある。本会議所では、平成9年4月に全国初の「企業名匿名方式による非公開企業のM&A市場」を創設し、中小企業の友好的なM&Aの支援を行ってきた。市場創設5年目となる平成13年度は、定例のM&Aセミナー開催によるPR以外にホームページのリニューアルや、業界団体との連携をはかり、より広範なPRとM&Aニーズの掘り起こしに努めた。なお、13年度は2件のM&Aが成約し、市場発足以来の成約累計は11件となった。

・いきいきおおさか 中小企業フェスタ2001の開催
 独自の発想や技術力をもとに新製品・新商品、新サービス等を開発している大阪の中小企業に販路開拓、企業・商品等のPR、企業間交流・情報収集の機会を提供し、ビジネスチャンスの拡大を促進するため、11月7日・8日の2日間、マイドームおおさかで、「いきいきおおさか 中小企業フェスタ2001」を開催した。
 7回目となる今回は、幅広い業種から74企業・団体(88ブース)が出展し、商談や企業・製品のPRを行った。会期中の来場者数は11,900人、商談成立件数は1出展者平均8.6件、さらに商談成約金額(成約見込みも含む)1億893万5千円の成果があった。
 会期中、杉田俊明・甲南大学経営学部助教授、山下恵生・(株)帝国データバンク大阪支社情報部部長、猿橋望・NOVAグループ代表を講師に迎えて、最新の経済・ビジネスに関するセミナーを開催したところ、延べ747人が聴講した。
 また、今年の中小企業フェスタには、「創都・大阪の再生」を目指し、フロンティアスピリッツ(開拓精神)を持って、創業と経営革新に取り組み、業績を伸ばしている大阪の中小企業を官民一体で表彰する「大阪中小企業顕彰事業実行委員会」(構成:大阪府、大阪府商工会議所連合会他)が参加、同賞の表彰式・受賞企業のプレゼンテーション・記念講演会が開催された。

●小規模企業の体質強化(経営改善普及事業の充実)
・小企業等経営改善資金融資の推薦

小企業等経営改善資金融資(マル経)の推薦実績は、2,162件、87億5,070万円で、前年度に比べて件数は3.6%、金額は3.8%減少した。
件数、金額の減少幅は僅かであるが、実額の推移をみると、ここ5ヵ年度で件数、金額のいずれもが最も低い水準にとどまった。この要因としては、(1)長期化する不況の影響で、売上の減少・価格の低下が引き起こされ、小規模企業の体力が疲弊し、資金需要が弱含みになっていること、(2)新たな借入をしても返済財源が生まれてこないといった不安感から、借入に対して慎重になる「借り控え」がみられることなどがあげられる。


マル経融資推薦実績
項    目 13年度計 前年度比
推薦件数 合 計 2,162 ▲ 3.6%
推薦金額合計(千円) 8,750,700 ▲ 3.8%
推薦単価 (千円) 4,048 ▲ 0.2%
内  訳
(1)使途別 (千円)
 運転資金
 設備資金


7,533,900
1,216,800


▲ 1.0%
▲17.9%
(2)業態別 (件数)
 個  人
 法  人

857
1,305

▲16.1%
 6.9%
(3)業種別 (件数)
 商業・サービス
 製造業その他

1,266
896

▲ 4.9%
▲ 1.8%


・経営相談・指導業務の充実

 経営指導員が小規模企業に対する経営相談・指導にあたった。件数は、巡回指導が1万8,365件、窓口相談が1万9,927件となった。その内容は、金融、税務、経理、経営、労働、取引など多岐にわたっているが、このうち金融相談が1万4,864件と最も多く、全体の38.8%を占めた。次いで経営が1万2,381件、32.3%と多い。

経営相談・指導件数
  巡 回 窓 口
金 融 4,499 10,365 14,864
税 務 207 484 691
経 理 284 345 629
経 営 8,670 3,711 12,381
労 働 69 120 189
取 引 65 137 202
その他 4,571 4,765 9,336
18,365 19,927 38,292


・経営改善講習会の開催

 本年度は同講習会を年間で568回開催し、受講者総数は8,435人であった。新入社員教育、簿記、労務、融資・助成金活用、ペイオフ制度対応、経営戦略、パソコン操作、ホームページ作成など実務に役立つ講座を中心に内容の充実を図った。

経営改善講習会開催状況
  回 数 受講者数
金 融 18 237
税 務 28 461
経 理 112 1,950
経 営 178 2,687
労 働 58 1,025
情報化 150 1,765
その他 24 310
568 8,435

・記帳継続指導の実施
 小規模事業者の自立化を促すため、本年度は記帳専任職員5人と記帳指導員32人あわせて37人が市内955事業所に対して、延べ4,185回(1事業所平均4.4回)にわたり、記帳の仕方を指導した。
 事業所を訪問してきめ細かい指導を行うとともに、確定申告期には近畿税理士会の協力を得て、17支部で合計77日、668件の確定申告相談に応じた。

・経営安定特別相談事業の実施
 中小企業の倒産防止のため、商工調停士の有光聿郎氏、和田亮介氏を中心に特別相談事業を実施し、14社相談があった。また、経営安定セミナーを2回開催し、述べ371名の参加者を得た。
 さらに、大型倒産や金融機関の破綻に伴い、特別相談窓口を設置し、延べ99人の相談を受けた。

・専門相談・商工取引相談の実施
 <専門相談>

 中小企業相談所と12支部に専門家を置いて専門相談を行った。相談所での専門相談については、法律、特許・商標・意匠、独禁法・景品表示法・下請法、貿易実務、入国管理、税務・経営、労務、技術、マーケティングの相談に応じた。本年度の相談件数は1,433件であった。
また支部では、商工業、税務・経営、労務の相談指導を行い、本年度の相談件数は4,239件であった。
 3月には電子メール相談を開始した。

 <商工取引相談>
 商工取引相談は1,799件で、メーカー、問屋などの業者の照会が多く、そのうちの大半が仕入れ先の照会であるが、アイデア売込、商品販路開拓の相談もみられた。また、業界団体、検査機関についての問い合わせと、海外取引先から注文を受けた商社から日本企業の連絡先照会が多い。
 相談は大阪市域に限らず、日本全国さらに中国・韓国・台湾などアジア諸国・地域からの照会もあった。

・インターネットを活用した経営相談事業の実施
 3月には、会員企業をはじめ、大阪市内の中小企業の方を対象にインターネットを通じて、電子メールによる無料の経営相談サービスを始めた.
 ・国や自治体の中小企業支援策を知りたい。
 ・独立開業に係る諸問題のアドバイスがほしい。
 ・ISO認証を取得するための専門家派遣をお願いしたい。
 ・○○商品のメーカーを教えてほしい。
など、様々な具体的な経営に対する相談に対して電子メールで回答した。相談内容によっては直接面談・電話などで対応した。

・エキスパートバンクの運営
 大阪府下の小規模企業の要請に応じて、エキスパートを無料で派遣し、技術或いは経営上の問題点を改善する制度である。
 本年度のエキスパート派遣先は45事業所であった。
 今年度は1事業所につき1回のみの派遣で、2回以上の派遣を希望する場合は大阪府中小企業支援センターへ引き継いだ。
 派遣先の業種は小売業が20事業所、製造業が11事業所、サービス業が6事業所、飲食業が6事業所、卸売業・建設業が各1事業所であった。
 また相談分野別では店舗関連が18件(40%)、IT関連(大部分がホームページの開設に関するもの)が14件(31%)と多く、次いでISOの認定に関するものが9件(20%)、販売戦略に関するものが2件、他に専門的な技術指導・販売戦略が各1件づつであった。

・中小企業倒産防止共済制度の普及
 取引先の倒産の影響を受けて、中小企業者自らが連鎖倒産する等の事態を防止し、経営の安定を図るための共済制度で、新規加入者数は40件で、前年に比べ21.2%増加した。
 一方、平成13年の全国の企業倒産件数は、19,164件にのぼり、この内、上場企業の大型倒産は14件で、97年に並び過去最多タイあった。以上のことを反映し、貸付請求件数は293件(対前年比14.9%増)、貸付金額は21億7,780万円(同14.1%増)となった。

・小規模企業共済制度の普及
 小規模企業の事業主および会社役員のための退職金制度について、本年度の加入者は140件で、前年度に比べて19.1%減少した。この結果、昭和49年12月の取扱い開始以来の加入累計は2万73件となった。また、加入促進に貢献をしたことで、中小企業庁長官から表彰を受けた。

・中小企業振興月間事業の実施
 "がんばる経営、応援します"のキャッチフレーズのもと、経営改善普及事業の一層の普及・浸透を図るため、10月に中小企業振興月間事業を実施した。
 期間中は経営改善講習会を各支部において集中的に開催したほか、各種の施策普及作成物を配布することで、経営改善普及事業の普及・浸透を図った。

・地域振興セミナーの開催
 「中小企業支援地域展開推進協議会」(本会議所と大阪市で組織)は、市内を5ブロックに分けて行う地域別セミナーを5回開催し、延べ参加者数は617人にのぼった。

・異業種交流、婦人・女性部活動の実施
  各支部において地域内の異業種交流会および婦人・女性部が開催する勉強会、見学会、交流会等の活動を支援した。

・支部役員と正副会頭との交流懇談会
 正副会頭が分担して支部の正副支部長・運営委員・振興委員などと交流・懇談を行った。懇談会では、下請け製造業の現状や商店街への来街者減少などが話題となった。また、セルフ化や共同仕入を試みる公設市場や、ホームページを開設して集客増を図る商店街の事例が披露されるなど多岐にわたって意見交換が行われた。

・「創業塾」、「新規開業支援拡大セミナー」の開催
 創業を具体的に予定している人を積極的に支援するため、本会議所は日本商工会議所との共催で、9月に「新規開業応援セミナー」を、11月に「創業塾」(全8回・計30時間)を開催した。
 「新規開業応援セミナー〜創業をめざすあなたのための実践セミナー〜」には65人が参加、迫間俊治・大阪中央地域中小企業支援センターサポーターが「新規開業のための心得と基礎知識」について、余田幸三郎・国民生活金融公庫大阪相談センター所長が「新規開業時の資金計画と資金調達」について講演した。また、伴一郎・伴ピーアール(株)社長が創業体験談「〜なぜ私は市役所職員から企業経営者へと転身したか〜」をテーマに講演した。講演終了後に開催された「創業・新規開業のための個別相談会」には、迫間サポーターと余田所長が計14人の創業相談に対応した。
 「創業塾〜夢に挑戦・めざせ起業家〜」は、(株)リクルート月刊誌「アントレ」の山口俊介西日本編集長の「失敗の法則に学ぶ独立の心得〜本当に儲かった話は表に出ない〜」を皮切りに、事業計画作成、資金調達などの講座を内容として開講し、35人が修了した。

2003.4.1更新
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